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開催予定のイベント

国際セミナー
ベトナムと日本の伝統文化におけるアルコール飲料
文化遺産と国際社会のつながり

 

“RƯỢU” と“SAKE”:伝統・革新・国際交流の架け橋

国際交流基金ベトナム日本文化交流センターとベトナム国立文化芸術研究所(VICAS)は、国際セミナー 『ベトナムと日本の伝統文化におけるアルコール飲料:文化遺産と国際社会のつながり』を共催します。伝統的なアルコール飲料は、単なる飲み物ではなく、多くの国において重要な文化遺産の一部となっています。ベトナムと日本では、伝統的なコメから醸造される飲料が、何世紀にもわたり日常生活、儀礼、祭りの中で重要な役割を果たしてきました。他方、近代化とグローバル化の進展に伴い、両国は伝統的な醸造技術の継承という課題に直面しています。本セミナーでは、伝統酒の文化的・歴史的・経済的な意義を深掘りし、醸造技術の保護・発展に関する課題を議論するとともに、伝統酒を通じた国際交流の可能性について探ります。

ベトナムの伝統酒は、単なる飲料ではなく、地域のアイデンティティを象徴し、民族文化の多様性を反映するものです。ベトナム国内には50以上の民族が存在し、それぞれが独自の醸造技術を持っています。例えば、エデ族の「rượu cần」(コメ)、モン族の「rượu ngô」(とうもろこし)、キン族の「rượu gạo」(コメ)などが挙げられます。これらの酒は、地域の祭りや儀礼、社交の場で深く根付いており、文化的な価値が非常に高いものです。しかし、近年では商業化、不安定な品質管理、大量生産品との競争といった課題に直面しています。また、体系的な記録や保護措置が不十分であるため、この文化遺産の持続可能性に懸念が生じています。

一方、日本にも豊かな醸造の伝統があり、特に日本酒は日本文化の象徴的存在です。千年以上の歴史を持ち、かつては主に宗教儀式で使用されていたものが、やがて日本の食文化や社会生活の中核となりました。日本酒の醸造技術は、精密な工程、高品質な原料、地域ごとの独自性を重視しています。近年、日本酒の世界市場への進出が進んでいる一方で、国内消費の減少、職人の高齢化、急速に変化する市場における伝統技術の維持といった課題も抱えています。2024年12月に「日本の伝統的な酒造り」がユネスコの世界無形文化遺産として登録されたことは、この遺産を保護しつつ、持続可能な発展を目指す必要性を改めて示しています。

醸造技術や文化的背景の違いはあるものの、ベトナムの伝統酒と日本酒には「地域コミュニティの結びつき」「文化遺産の保護」「国際交流の促進」といった共通の価値・可能性があります。本セミナーでは、両国の伝統酒の類似点と相違点を探りながら、アルコール飲料が儀礼や日常生活、国際市場においてどのような役割を果たしているのかについて議論します。また、専門家による講演を通じて、ベトナムと日本がそれぞれ伝統的な酒造産業をどのように継承し、現代社会に適応させているのかを紹介し、今後の発展の可能性について考察します。参加者の皆様には、伝統的なアルコール飲料の未来について、より深い理解を得る機会となるでしょう。

 

イベント情報

[日時] 2025年3月2日(日曜日)
08:30 – 11:45
[会場] 7階ホール、ビルB、ベトナム国立文化芸術研究所 (VICAS)
(32 Hao Nam Street, Dong Da District, Hanoi)
 [講師] 岸保行 准教授
Bùi Quang Thanh 教授
Lê Thị Khánh Ly博士
[言語] 英語とベトナム語(通訳付き)
[対象] 13歳以上の方
[登録] 無料。事前登録が必要です。
https://tinyurl.com/alcohol-seminar

 

アジェンダ

8:30 – 9:00 開会
9:00 – 10:00 講演:「醸造の革新:日本酒による伝統と地域社会の再構築」
岸保行准教授(新潟大学日本酒学センター・副センター長)
10:00 – 10:25 講演:「ベトナム少数民族における酒文化」
Bùi Quang Thanh教授(ベトナム国立芸術文化研究所)
10:25 – 10:45 講演:「ベトナムと日本の文化交流の視点から見る伝統酒」
Lê Thị Khánh Ly博士(ハノイ文化大学・外国文化研究学科長)
10:45 – 11:30 ディスカッション:「日越文化交流の可能性」
11:30 – 11:45 閉会

 

■ Credit
主催: 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
共催:ベトナム国立文化芸術研究所

 

講師情報

1.岸保行(きし・やすゆき)准教授

1979年 東京都生まれ。

早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士課程修了。早稲田大学助手、東京大学経済学研究科ものづくり経営研究センター特任助教を経て、2012年より新潟大学経済学部准教授に着任。2018年からは新潟大学日本酒学センター・副センター長を兼務。

専門は酒蔵組織論、伝統産業の海外展開、伝統と革新。産官学が連携した総合科学としての「日本酒学(Sakeology)」を考案し、新潟大学日本酒学センター開設の中心的な役割を担ってきた。現在は、新潟大学発の「日本酒学」を世界的な学問分野として確立することを目指して研究・教育活動をおこなっている。

 

2.Bùi Quang Thanh(ブイ・クアン・タイン )教授

前・VICAS 外国文化芸術学部長。ベトナム民俗芸術協会、ハノイ民俗芸術協会、ハノイ作家協会の会員としても活動。民族文化遺産に関する多くの研究を行い、ユネスコの無形文化遺産代表リストへの登録に向けた文化遺産申請書の作成に携わる。

また、VICASをはじめ、国内のさまざまな研究機関や大学で博士課程・修士課程の指導を行い、研究者の育成に貢献。これまでに、国内外の専門誌に発表した学術論文は200本近くにのぼる。現在は、民族文化発展研究所の科学評議会会長を務めるほか、ベトナム国立文化芸術研究院およびハノイのベトナム仏教学院の科学評議会メンバーとしても活動している。

 

3.Lê Thị Khánh Ly(レ・ティ・カイン・リー)博士

ハノイ文化大学にて外国文化研究学科長を務める。世界文明史、世界文化、文化外交、ベトナム海洋文化、文化プロジェクト開発など多くの科目を担当するほか、省・市・大学レベルの科学研究プロジェクトに積極的に参加。専門書や教育用教材の執筆・共同執筆も手掛ける。

国内外の専門誌において多数の学術論文を発表。研究テーマは国際文化交流の重要な側面を明らかにするだけでなく、ベトナムの対外文化政策の策定にも実践的な意義を持つ。特に、日本の文化、歴史、対外政策、文化外交に強い関心を持ち、日本の文化外交の発展を時代ごとに分析するとともに、それを国際関係の文脈や、日本が東アジア・東南アジア(特にベトナム)に与える影響の観点から考察している。

 

 

<問合せ>
_____________________________________________________

大須賀 (070-513-7550) / Anh (083-369-1818)
国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
27 Quang Trung, Hoan Kiem, Hanoi, Vietnam
TEL: 024-3944-7419

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